腎臓病とは、腎臓の機能が低下し、体内の老廃物や余分な水分を適切に排出できなくなる病気を指します。現在、日本の成人の約8人に1人が慢性腎臓病とされ、新たな「国民病」とも言われています。腎臓病は長期間症状が現れないまま進行し、完治が難しいケースが多いのが特徴です。そのため、現在の腎臓の機能をできる限り保護することが重要です。
腎機能の低下が3か月以上続く状態を「慢性腎臓病(CKD)」と呼び、進行度に応じてさまざまなステージに分類されます。下の表で示される「CKD」は慢性腎臓病を表し、各ステージで生活や予後に与える影響が異なるため、自分の状況を理解し、適切な対策を取ることが重要です。
表の縦軸にある「GFR」は血液検査で推定される数値で、腎機能の指標です。GFRが低いほど重症です。横軸の「タンパク尿」は尿検査項目で、3段階(A1、A2、A3)に分けられ、タンパク尿が多いほど腎機能の悪化リスクが高まります。これらの指標をもとに腎臓病のステージを判定します。
緑のステージ | 生活習慣の改善と定期検査が大切です。肥満があれば減量、塩分摂取が多い場合は減塩、飲酒は控えるなどの対策を行います。 |
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黄のステージ | 生活習慣の改善に加えて、薬物治療が必要です。薬の使用に抵抗がある方も多いかもしれませんが、早期治療で腎機能を温存できます。必要に応じて腎臓専門医の診察も受けます。 |
橙のステージ | さらに専門的な治療が必要で、透析を回避するための包括的治療が重要です。総合病院の腎臓専門医と連携し治療にあたります。 |
赤のステージ | 透析や腎移植の可能性も考慮し、腎臓専門医と密接に連携しながら診療を行います。慢性腎臓病は原因によって予後が異なりますが、早期発見と治療が重要です。 |
慢性腎臓病の主な原因として、以下の5つが挙げられます。
糖尿病性腎症と呼ばれ、糖尿病が長期にわたることで腎臓にダメージが及ぶ状態です。日本では透析を必要とする原因の多くが糖尿病性腎症です。進行が速く合併症が多いため、糖尿病治療が中心ですが、進行した場合は高度な治療が必要です。
高血圧性腎硬化症と呼ばれ、動脈硬化による腎機能低下が起こる病気です。進行はゆっくりですが、透析に至るケースが増加しています。高血圧治療が中心となります。
代表的なものにIgA 腎症(免疫の病気)や多発性嚢胞腎(遺伝の病気)があります。尿検査や画像検査で発見されることが多く、専門医の診療が不可欠です。
腎臓が1 つしかない場合や小さい場合など、腎臓の形態に異常があると、全体の腎機能が低下します。超音波検査で診断し、悪化を防ぐために高血圧や糖尿病の予防を行います。
薬やサプリメントなどが原因で腎機能が悪化するケースもあります。
知識と理解を深めることで自分の健康を守る第一歩となります。当院では、血液検査や尿検査を行い、病状に合わせた適切な治療を提供しています。