(肺炎球菌の電子顕微鏡写真:厚生労働省新興・再興感染症事業HPより)
主として肺炎を引き起こす細菌です。
この肺炎球菌は、体力が落ちている時や高齢になって免疫力が弱くなってくると病気を引き起こします。肺炎球菌が引き起こす主な病気は、肺炎、気管支炎などの呼吸器感染症や副鼻腔炎、中耳炎、髄膜炎などがあります。
肺炎球菌は通常は気道にすみつき、特に冬と春の初めに空気中の飛沫により感染が拡大していきます。肺炎球菌は90種類以上が存在していますが、重篤な感染症を引き起こすのはそのうちの数種類です。近年、抗生物質が効きにくい肺炎球菌が増えてきており、超高齢社会の日本においては発症すると治療しにくいことが問題になっています。
特に肺炎球菌に感染しやく、重症化しやすい方は次のような人です。
上記の方は特に予防するためのワクチンが重要です。
肺炎球菌ワクチンは「ニューモバックスNP®(23価ワクチン)」と「プレベナー13®(13価結合型ワクチン)」の2種類があります。
一方、プレベナー13®は13種類に対応し、肺炎球菌全体の31%の種類に対応していると報告されています。効果の持続性は長く、生涯で1回のみの接種で十分です。プレベナー13®には助成制度はなく自費での接種になります。
2023年4月10日より新たな肺炎球菌ワクチンのバクニュバンスが発売されました。これは成人における肺炎球菌(血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F 及び33F)による感染症の予防が可能となり、プレベナー13®の13種類よりも多い15種類の肺炎球菌の型をカバーすることができます。プレベナー13®同様に自費での接種です。
ニューモバックスNP®の方が、プレベナー13®よりも広い血清型カバー率があり、ニューモバックスNP®のみでも肺炎球菌の予防として推奨されています。ただしニューモバックスNP®とプレベナー13®の両方を接種することで、ブースター効果(相乗効果)があり、さらなる強い予防効果が期待できます。
以下に肺炎球菌ワクチンの接種のチャートを示します。
肺炎球菌ワクチン接種後の副反応(副作用)として、注射部位の腫れや、痛み、ときに軽い熱がみられることがありますが、日常生活に差し支えるほどのものではありません。1~2日で消失します。肺炎になるリスクを安全に低下することができるワクチンであると考えています。